いもじろうの雑記

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企業型確定拠出年金からiDeCoへの移換手続き【①iDeCoとは】

 2019年末に転職し色々手続きをした中で、確定拠出年金の移換手続きがまだできていなかったので手続きをすることにした。

 僕の場合、転職前の会社は企業型確定拠出年金あり、今の会社は企業型確定拠出年金なしだったので、企業型確定拠出年金を個人型確定拠出年金(以下「iDeCo」という)に移換する。

 今回は、移換手続きをするにあたり、確定拠出年金(おもにiDeCo)の内容について調べたことをまとめてみた。

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1.確定拠出年金とは

日本の年金は「3階建て」と言われる。

1階部分

  国民年金(20歳以上の全国民が加入)

2階部分

  厚生年金(会社員・公務員が強制加入)
  国民年金基金(自営業者等が任意加入)

3階部分

 企業年金(企業が独自に運営)
 確定拠出年金

 

 1階部分、2階部分は公的年金制度、3階部分は私的年金制度であり、確定拠出年金は3階の私的年金制度に含まれる。

 確定拠出年金には企業型と個人型(iDeCo)があり、前者は掛け金を企業が拠出、後者は掛け金を個人が拠出する。掛け金は加入者(個人)が運用し、運用後の金額の給付を受けることになる。

 公的年金制度は現役世代が納める保険料で高齢者に年金を給付するのに対し、確定拠出年金は自分の年金を現役のうちに積立しておくということで、イメージ的には(税制優遇のある)貯蓄に近いイメージである。

 

2.企業型確定拠出年金加入資格を喪失したままにしておくと損をする

 僕の場合、確定拠出年金制度がある会社からない会社へ転職したため、企業型確定拠出年金の加入者資格は前の会社を退職した時点で失われることになる。そのまま放っておくとどうなるかというと、

「加入者資格喪失日の翌月から6か月以内に他の確定拠出年金への資産移換手続きまたは脱退一時金の受給手続きが完了していない場合、自動的にご資産は売却・現金化され、国民年金基金連合会に移換(自動移換)されます。」

(手元に届いた三井住友信託銀行の案内ハガキより)

 

 放っておくと自動的に資産を現金化(投資信託等を売却)して、国民年金基金連合会に移換してくれるとのことで、それならそのままでいいじゃないかと思いきや、読み進めると以下の制約がある。

  • 資産の現金化の手数料が「4,348円(税込)」かかる
  • 資産の運用は行えない
  • 給付要件である通算加入者等期間(※1)に算入されない
  • 給付金を受け取る前に個人型確定拠出年金への移換が必要。(手数料は税込み1,100円)
  • 自動移換の4か月後から、毎月52円(税込)の口座管理手数料がかかる

(※1)加入期間10年未満だと給付金受け取りが60歳から(最長65歳に)後ろ倒しになる。

 

 つまり、面倒くさいからと放っておいても将来受給する前に移換手続きをする必要があり、移換の手数料を2回も払うことになるなどいいことがないので、忘れないうちに手続きをしておいたほうが絶対よい。

 

3.確定拠出年金を途中解約するのは不可能に近い

  僕の場合、確定拠出年金を解約して脱退一時金をもらい、少しだけ運用している株や投資信託の資金の足しにしようと思ったが、以下の[ 1 ]または[ 2 ]の条件を満たす必要があるが、残念ながら条件を満たさなかったので解約できなかった。

 

[ 1 ] 資産額1万5千円以下であること

[ 2 ] 国民年金第1号被保険者になり、かつ以下の条件を全て満たす

  • 国民年金保険料の免除や学生納付特例の承認を受けている
  • 通算拠出期間が1か月以上3年以下もしくは資産額25万円以下
  • 60歳未満であること
  • 障害給付金の受給権を持っていないこと
  • 確定拠出年金の加入資格喪失日から起算して2年以内である

 

 条件を満たして脱退一時金を受け取れる人はかなりのレアケースではないかと思われる。 確定拠出年金は一度入るとまず解約できない。と思っておいたほうがよい。

 

4.移換するにあたりiDeCoについて調べてみた

 僕の場合はiDeCoへの移換をせざるを得ないということで、iDeCoについて調べてみた。主に見たのは、iDeCo公式サイト(https://www.ideco-koushiki.jp/)で、比較的わかりやすく作ってあると思う。 iDeCoに興味があるが内容が全然わからんという人は、「iDeCoってなに」「iDeCoをはじめよう」あたりをしっかり読むとずいぶん理解が進むと思う。

 

iDeCoに加入できる人

以下に該当しない人は加入できる。(詳細はiDeCo公式サイト参照)

  • 農業者年金の被保険者
  • 国民年金の保険料納付を免除/一部免除されている。(ただし、 障害基礎年金を受給されている方等は加入できる。)
  • 勤め先の会社で企業型確定拠出年金に加入している(企業型確定拠出年金規約で個人型同時加入を認めている場合は加入できる)

 

掛金はいくらか 

 掛金は最低5,000円以上で1,000円単位で決められる。掛金には上限が設けられていて、たとえば第2号被保険者(会社員・公務員)であれば企業年金の有無などにより変わってくるが月額1.2万円~2.3万円が上限になる。(詳細はiDeCo公式サイト参照)

 

iDeCoの運用について

 iDeCoでは複数の運用商品(投資信託等)のなかから自分で選択した商品を組み合わせて運用する。(1つの運用商品で運用しても問題ない)

 運用商品は運営管理機関(銀行や証券会社など)により取り扱っているものが違ってくるため、運営管理機関の選択が肝になってくる。

 

5.メリットとデメリット

(1)税金(住民税・所得税)が安くなる

 idecoで積立を行うと、積立金額分が所得控除の対象になるので、

「年間の積立金額 ×(所得税率+住民税率)」分税金が安くなる。

 住民税率は約10%とし、所得税率は、まず課税所得金額を求め(下の「図1:源泉徴収票抜粋」の給与所得控除後の金額(②)から所得控除の額の合計額(③)を引いた金額)、それを「表1:所得税率」に当てはめると求められる。

図1:源泉徴収票抜粋

図1:源泉徴収票抜粋

表1:所得税率

表1:所得税率

例えば「図1:源泉徴収票抜粋」の収入と控除がある場合、課税所得金額は

 

4,802,445円-1,716,824円=3,085,621円

 

となり、 「表1:所得税率」に当てはめると「課税所得金額195万円超~330万円」なので、所得税率は10%である。住民税も約10%なので、積立金額の20%分税金が安くなることになる。月1万円積立する場合、年間で安くなる税金は24,000円である。

 (2,000円/月 × 12か月 = 24,000円 )

 

 ただし、税金を払っていない人(=扶養に入っていたりで収入がない人)にはこの節税メリットはないので注意が必要。

 

(2)運用益が非課税

  投資信託などの金融商品を運用する場合、運用で出た利益に対して20.315%分税金を取られる。例えば100万円で購入した投資信託が値上がりし110万円で売却した場合には、10万円の利益が出る。 

(110万円(売却金額)-100万円(購入金額)=10万円)

 

 しかし、そこから20.314%(2万314円)は税金として取られるので、利益は7万9,686円に減って、100万円の投資額に対して手元に残るのは107万9,686円になる。(投資信託から配当金が出た場合も同じ)

 

 これに対してiDeCoで運用した場合には、20.314%の課税をされないので、10万円の利益がそのまま手元に残り、100万円の投資額に対して手元に残るのは110万円である。

 運用がうまく行ってたくさん利益が出た場合には結構効果が大きい。ただし、運用がうまく行かず利益がマイナス(損をした状態)であれば意味がない(利益が出ない場合はそもそも課税されない)ので注意が必要である。

 

(3)受給時にも控除がある

  iDeCoの受給方法として、「一時金」と「年金」もしくは「一時金と年金を併用(※金融機関によっては対応している)」があり、「一時金」は退職金と、「年金」は公的年金と合算して所定の金額範囲内に収まれば、非課税で受給ができる

 

「一時金」として受給する場合 

 国税庁のHP(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm)を見ると、退職所得控除の計算方法は以下の通りである。

 

・勤続年数20年以下の場合
 ⇒ 40万円 × 勤続年数(最低80万円)
   15年勤務した場合:40万円 × 15年 = 600万円

 

・勤続年数20年以上の場合
 ⇒ 800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)
   35年勤務した場合:800万円 + 70万円 × (35年 - 20年) = 1,850万円

 

 退職所得控除の範囲内にiDeCoの一時金が収まるようであれば、非課税で受給できるが、大企業に勤めていたり、途中で転職した場合にはidecoの一時金が退職控除の枠を超えてしまい課税対象となる可能性もある。

 また、iDeCoには口座管理手数料と給付手数料がかかる(金額は運営管理会社ごとに異なるが、安いところで月あたり数百円)ため、一度に受給してしまうことで手数料を抑えることができる

 

「年金」として受給する場合

 国税庁のHP(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1600.htm)をみると、令和2年以降の老齢年金の基礎控除について、65歳から年金を受給する場合だと年金受給額(年額)-110万円が課税所得となるが、以下の場合には確定申告は不要とある。

  • 公的年金等に係る収入金額が400万円以下
  • 公的年金等以外の雑所得が20万円以下

  公的年金の年額が400万円を超えないのであれば、実質非課税で受給できる。 

 ただし、年金として受給する場合、給付期間中は口座管理手数料と給付ごとに給付手数料がかかる。月あたりにすると安いところで数百円程度だが 、支払い期間を長く設定してしまうと結構な金額になるので注意が必要である。(給付手数料は、受取回数を年1回などに設定することで節約も可能)

 

(4)デメリット

(1)から(3)までメリットを挙げたが、今度はデメリットを考えたいと思う。

 

一度入ると積み立てたお金を引き出せない

 iDeCoに一度加入すると解約ができず、最短で60歳(加入期間10年以上)、最長で65歳(加入期間1か月~2年未満)まで積み立てたお金を引き出すことができない。掛金が払えない場合は運営管理会社に所定の手続きをすることで掛金の拠出をゼロにできる。

 

手数料がかかる

 運営管理会社の宣伝を見ると、大きな文字で「手数料無料」と書いてあるが、あれはあくまで運営管理会社の手数料がかからないだけであって、iDeCoに加入すると以下の手数料が発生する。

  • 加入時、移換時の手数料(数千円程度)
  • 口座管理手数料(毎月数百円程度)
  • 給付手数料(給付ごとに数百円程度)

  月々にすると大した金額ではないが、長期間利用することになるので思いのほか大きな金額になる。(例えば300円/月で10年間運用すると10万円を少し超える)

 ほかに投資信託の信託報酬(商品によるが運用金額の0.1%台~2.0%くらい)がかかるが、これはiDeCoに関わらず投資信託を購入する場合は必ずかかるものである。

 

 6.まとめ

加入する前に再確認

  iDeCoは税制面で優遇があるが、一度加入してしまうと最短でも60歳までは積み立てたお金が手元に戻ってこない。たとえば7項に挙げたメリットのうち(1)(3)はなくなるが、いざというとき比較的現金化しやすい「つみたてNISA」と比較してみるなどよく考えたほうがよい。

 

□ 次の記事

 企業型確定拠出年金からiDeCoへの移換手続き【②運営管理機関を選ぶ】